ご挨拶
筑波大学大学院生命環境科学研究科環境科学専攻・持続環境学専攻ではこれまでも、高い専門力に加え俯瞰力、マネージメント力、実践力等を兼ね備え、 種々の地球規模課題に対峙しこれらを解決し得る、修士(環境科学)、博士(環境学)人材を育成すべく、人材育成支援無償事業(JDS)「持続性科学技術・ 政策プログラム(SUSTEP)」、戦略的環境リーダー育成事業「環境ディプロマティックリーダープログラム(EDL)」等、修了証プログラムを含め、社会のニーズと学術的重要性に対応したカリキュラムを提供して参りました。
こうした実績をふまえ今回新たに、<a href=”http://www.mext.go.jp/a_menu/kaihatu/gensi/1339049.htm”>文部科学省 原子力人材育成等推進事業補助金 国際原子力人材育成イニシアティブ</a>「原子力災害による環境・生態系影響リスクマネージメントプログラム(ENEP)」を開始致します。
福島第一原子力発電所事故より5年が経過し、この間発電所事故により放出された放射性核種の初期の環境中移行、および食物等への移行状況のデータが蓄積されてきました。その一方で、原子力災害による環境・生態系影響評価およびモデリング技術を有した人材の不足が顕在化しております。事故から得られた教訓を世界と共有し、世界共通の安全基準に反映し、世界の原子力施設の安全確保に貢献することは我が国の責務と言えます。
原子力災害による環境・生態系影響評価を行う人材は、基礎的な原子力技術のみならず、放射性核種の自然環境中における動態に関し、水・物質循環プロセスを併せた正確な理解、測定技術が必要とされます。加えて、原子力緊急時における環境モニタリングの重要性と、大気中、陸域表層、海洋等での移行予測モデル開発、生態系への影響と食物・飲用水等の安全影響評価を担い得る人材の要求が高まっています。
環境科学専攻・持続環境学専攻では、本学アイソトープ環境動態研究センターと連携し、自然環境中の同位体を中心に据えた環境動態研究教育を総合的に行う人材を有しております。本プログラムでは、 本専攻および同センターの人的資源に加え、日本原子力研究開発機構、国立環境研究所、放射線医学総合研究所、農業環境技術研究所、気象研究所、産業総合研 究所等の国内主要諸機関、ならびに、国際原子力機関(IAEA)、フランス放射線防護・原子力安全研究所(IRSN)等の海外諸機関と連携し、次世代の原子力分野における原子力災害に対応した、環境影響評価・モデリングおよび生態系への影響評価に関し、当該分野を国際的にリードする優れた人材を育成して参ります。
関係各位のこれまでの、ご理解、ご尽力、ご協力に深甚な敬意と感謝を表するとともに、今後益々のご指導を賜りますようお願い申し上げます。
筑波大学大学院生命環境科学研究科持続環境学専攻長
辻村 真貴
育成する人材
今後の原子力分野の重要課題である緊急時対応や、災害後の環境影響評価と復興対策、放射性廃棄物の処理・処分の推進に貢献することのできる人材を育成します。
地球科学・環境科学の分野から、原子力のオフサイトとオンサイトをつなぐことを目標に、行政や教育の立場から国民理解の増進を担う人材、国内外で課題解決を担うことのできる専門家の輩出を目指します。
カリキュラムの特色
当プログラムは、筑波大学大学院生命環境科学研究科環境科学専攻の特別プログラムです。
カリキュラムは、本専攻の正式開講科目なため、通常の学位修了要件単位とすることが可能です。また、プログラム参加の如何を問わず、受講することも可能です。
プログラム修了生には、通常の学位に加え、プログラム独自の修了証を授与いたします。